血中ニコチン濃度と気分の関係を示した図1を見て下さい。タバコを吸うと、血中ニコチン濃度はすぐに上昇し、その結果
脳内神経伝達物質であるドーパミンが増加します。これが増加すると快感が増大するとされ、覚醒したようなよい気分になります。つまり、常習喫煙者はドーパミンによって快感が増大するのを「ストレス解消」と思ってしまうわけです。
しかし、30分から40分すると、血中ニコチン濃度は低下しますから、ニコチン禁断症状が起こり不安感、不快感、集中困難が生じ、またタバコを吸いたくなります。後はその繰り返しです。1日中タバコと縁が切れません。完全なニコチンによる薬物中毒です。
結局、喫煙者がタバコを吸ってほっとするという状況とは、ニコチン切れの身体にニコチンが入ることによる充足感なのです。「ストレス解消」と思っているのは、じつはタバコによって作られたストレスを次のタバコによって解消していることに他ならないのです。タバコを吸わない人には、そもそもこうしたストレスは存在しないのです。
更に、喫煙には交感神経刺激効果があり、ニコチン血中濃度増加により心拍数増加、血 圧上昇、末梢血管収縮などの変化が生じます。ストレス解消のつもりの喫煙は、実は心臓に対して余計なストレスを与えていることになります。 |