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■タバコの害に関するテキスト
(5)間接喫煙の恐ろしさー特に胎児、乳幼児などへの影響:
 1:喫煙の妊娠に及ぼす影響:まず、喫煙している女性は妊娠しづらいとされています。子供を欲しい夫婦は、2人とも禁煙すべきです。さて、妊娠したとしても問題があります。妊娠中でも喫煙を続ける妊婦は91年の調査1)で4.4%ですが、近年の20代女性の喫煙率増加から見れば、もう少し増えているでしょう。
 タバコの中のニコチンは血管を細くします。そのためお母さんから胎児に流れる子宮への血流量 が少なくなり、胎児に送られる酸素と栄養が少なくなります。さらに、タバコの一酸化炭素が母体の血液中に増え、その分も酸素が不足します。この二重の低酸素状態が胎児に悪影響を与えることになります。
 まず、妊娠中の喫煙者は、喫煙しない人と比べ自然流産の頻度が1.5倍前後高くなることが国内外の研究で共通 して確かめられています。また、図4左に見るように、早産児発生率も妊娠中の喫煙本数が増えるに比例して増加し、1日16本以上喫煙の妊婦では約20%にもなります。低体重児発生率も、図4右に見るように、妊娠中の喫煙本数が増えるに比例して増加し、1日16本以上喫煙の妊婦では20%にせまります。さらに、子供の先天異常のうち唇裂・口蓋裂と心臓の先天異常は妊婦の喫煙に関係ありと言われています。
図4

 それでは、喫煙妊婦から生まれた子供のその後の成長はどうでしょうか。図5に示しましたように、子供が11才になった時点で、身長・知能とも、母親の妊娠中の喫煙本数が多いほど著しく劣っていることが分かります。
 以上見てきましたように、妊娠中の喫煙が胎児並びにその後の子供の発育にいかに悪影響を及ぼすか分かったと思います。妊婦は禁煙すべき事は言うまでもありません。
 2:乳幼児に対する間接喫煙の影響:妊娠中禁煙していた妊婦も、出産後また吸い始める事が多いようです。乳児検診来所者の10〜15%は育児中も喫煙しているとの報告があります。授乳期間中の母親が喫煙すると、母乳の分泌も低下しますし、さらにタバコのニコチンが母乳中に分泌されます。1日20本以上吸う母親の母乳を飲んだ子は慢性ニコチン中毒になり、不眠、嘔吐、下痢、頻尿などの症状を呈したことも報告されています。
図5

 小児喘息も図6に示すように、喫煙者がいない場合に比し、父親が喫煙者の場合で2倍、母親が喫煙者の場合で3倍の発生率となります。
図6


 最近問題となっているSIDS(乳幼児突然死症候群)についても、うつぶせ寝だけでなく、妊娠中と出産後の親の喫煙が大きな原因の1つとされています。


(6)まとめ:
 以上示したように、この恐ろしいタバコを、妊婦や若い女性はもちろん、全ての国民がやめ、タバコのない社会を実現して欲しいと思います。
 最後に、図版の引用を承諾いただいた、斉藤麗子先生、大竹修一先生、切明義孝先生、健康ネットに御礼を申し上げます。

文献
1)斉藤麗子:たばこがやめられる本、女子栄養大出版部、2000年、20p

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